資金ボランティアはベンチャー企業の生命線を握っている。
投資を行うのは消費者であるが、消費者は金融機関から金融商品を購入するという形をとる。
すなわち、金融機関は社会全体から金融商品を通じて資金を集めることになるため、当然、社会的責任が生じる。
金融商品取引法施行以前の金融機関は、金融商品の販売や手数料収入を優先するあまり、消費者個人の属性を無視しがちであった。
また、金融商品を作るにあたっても、ことさらに利回りの高さを強調するものを作るなど、リスクの所在や内容の説明については後回しという感じがうかがえた。
本当にそれでよいのだろうか。
金融商品取引法が施行された今、金融機関は金融リスクや手数料などのコストの説明に神経を使っているようであるが、最も大切なことは、金融機関が消費者との交渉の中で個人の属性を見極め、各個人の属性に適した金融商品を勧めることだ。
金融機関は金融のプロなのであるから、顧客との交渉を進めていく中で、顧客の属性を認識することは難しい話ではないはずだ。
間違っても、リスクを好まない消費者に対してリスクの高い金融商品を勧めることは厳しく慎まねばならない。
投資ファンドを運営する金融機関(投資信託会社や販売を担当する金融機関)にもまた応分の社会的責任が求められる。
消費者の適性や属性に適合したファンドを勧めることはもちろんであるが、もう一点指摘しなければならない点がある。
それはベンチャー・ファンドについてである。
すでに述べたように、Lをはじめベンチャー企業の中には粉飾決算を行う企業が、相変わらずあとを絶たない。
これでは、消費者が仮にリスクを取ってベンチャー・ファンドなどの投資を行いたいと思っても、後ずさりしてしまうであろう。
ベンチャー企業の育成にベンチャー・ファンドが重要な役割を果たすことは、米国の例を見るまでもあるまい。
それでは、日本でベンチャー・ファンドを扱う金融機関がなすべきこととは何か。
それは、ベンチャー企業を見る目を研ぎ澄まし、かつ、企業に関する正確な情報開示に努めることではないか。
これは“言うは易く、行うは難し”であるが、これを行うことによって消費者からの信頼が得られることを考慮すれば、当然のことであろう。
金融機関もベンチャー企業も、社会的責任を果たすことによって、消費者が資金ボランティアの役割を果たすことができるのである。
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